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2004年 11月 20日
人権パターンというのは,受験界で,基本的人権を制約するある法令や処分などの憲法適合性を検討するときに,必ず踏むべきとされている論じ方,いわばお作法のことを指します。筆者が見たところ,この人権パターンには4つの類型があるように思われます。
その第一は,いわば基本型とでもいうべきものでして,まず制約されている基本的人権の種類・類型を認定し,それが憲法の規定によって保障されていることを確認した上で(営業の自由やプライバシー権など),その基本的人権の性質や重要性を論じる一方,その基本的人権を制約する原理(公共の福祉論など)を示し,その類型の基本的人権に対する制約が憲法上許容されるための審査基準を定立した(精神的自由権の優越的地位論=厳格な基準など)上で,事実関係にあてはめるというものです。 その第二は,人権享有主体性型とでもいうべきもので,外国人や法人が典型ですが,未成年,公務員などもここに分類できるでしょう。通常,これらの人権享有主体性を正面から否定した先例はありませんので(八幡製鉄事件判決など),あとは基本型にそって論じますが,主体の特殊性が人権制約原理やその許容される程度と関連して論じられることが多い(パターナリズム)のも特色です。 その第三は,客観的制度型とでもいうもので,憲法上ある一定の制度・行為が禁じられているために,その憲法上禁じられている制度・行為に問題となっている法令・処分が該当するのかというものです。検閲の禁止や政教分離原則などがここに分類できます。「検閲」や「宗教的行為」の定義づけをしてそれに該当するか検討するのが原則ですが,津地鎮祭事件判決のように定義自体が利益衡量的要素を含んだあいまいなものとされた場合,その法令・処分がその定義に該当するのかの検討でかなり裁量的判断が必要となることがあります。 その第四は,私人間効力型とでも称すべき類型で,対等な私人と私人の権利の調整が問題となる類型(私立病院における輸血拒否など)と,団体とその構成員の利害調整が問題となる事案(北九州税理士会事件判決など)に大きく分けられましょう。これは,憲法の人権規定の私人間効力について,間接適用説ないし直接適用説でなければ直ちに憲法問題とはならないのですが,無適用説をとっても憲法の趣旨を私法上の解釈で考慮するならば同様の考え方の筋道を採ることになるでしょう。憲法問題として考える立場も,利益衡量テストを用いることが多いと思われます。 以上4つの類型を用いて整理すれば,憲法人権の問題は整理しやすくなるでしょう。
by humitsuki
| 2004-11-20 11:13
| 憲法・公法一般
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