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2006年 10月 21日
裁判員制度を睨んで短期集中審理実現の切り札として導入された「公判前整理手続制度」,試行段階とは言え全国各庁でそれなりに実施例の蓄積もされてきた頃合いではないでしょうか。
連日的開廷で集中した証拠調べを行い,充実した審理を実現するという目的に照らして,これまでの通常事件より審理期間を短縮できなければ意味がない,と集中審理へ向けて相当の努力がされているようです。とはいえ,傍観者から見れば,必ずしも劇的な期間縮減がされている事例ばかりではないというのが実感ではないかという気がします。 誤解を恐れず率直に言ってしまえば,本来想定されていたような,被告人側が強く否認しており先鋭な対立があったり,争点が複雑だったりするような比較的大規模な否認事件に対しては,公判前整理手続も効果を見せやすい気がします。他方で,比較的単純な自白事件などでは,現段階の通常審理でも相当程度審理が短縮されており,これ以上審理期間を短縮する余地は比較的乏しいと見ることもでき,公判前整理手続に付してもそれほど審理短縮の効果を期待できないばかりか,証拠開示制度などが適用される結果,かえってどこまで証拠開示すべきかの点で紛糾が生じ,審理期間が伸びる恐れすら考えられます。 現在,仄聞する限りで,証拠開示関係で,関係人・目撃者の身上調書や前科関係,取り調べの際にその状況を記載する取り調べ状況報告書(8号)の,不開示希望調書の有無及び通数欄について,検察庁が不開示とする旨回答したのに対し,弁護人が裁定を求めて斥けられた事案が複数あるようであり,さらに高裁に抗告して棄却された例もあるようです。 具体的記録に逐一当たることはできませんが,検察官側のストーリーと被告人の自認するストーリーにどのような食い違いがあるか否かを問わず,とにかく無条件で全面的に証拠を開示するのが原則であるとの考え方が背景にのではないかと勘ぐりたくなるような裁定申立てもないとは言えず,このようなためにする証拠開示関係の申し立てで時間を費やせば,従来の自白事件の審理であれば1回結審,証拠全部同意で短期間で判決宣告まで至っていた事案より長期化した審理を避けられないところでしょう。 個人的には,裁判員法施行後はともかく,それまで裁判員対象予定事件でもそれなりに先鋭な対立のある事件に絞って公判前整理手続に付す方向で十分なのではないかという気がしています。
by humitsuki
| 2006-10-21 23:10
| 刑事法
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